利益相反と特別代理人

Aさんが亡くなりました。配偶者はおらず、相続人は子であるB、C、Dです。Bは精神障害があり、Bの成年後見人に弟のCが就任しています。不動産、預貯金等Aさんの遺産を分割することになりました。
子であるB、C、D全員が遺産分割協議をすれば遺産を分割することができます。しかしBは協議の内容が理解できません。Bの後見人であるCは、相続人でもある自分の固有の地位を利用し、CさんとDさんだけで遺産分割協議をすることができるのでしょうか?
これはできません。これではCに圧倒的に有利な協議がなされてしまう危険があります。Cは簡単に自分に都合の良い協議をすることができてしまいます。このような状態を「利益相反」と言います。BとCの利益を相反させてしまうという意味です。そこでこのような場合、家庭裁判所でBの特別代理人を選任し、特別代理人、C、Dで遺産分割協議をすることとなります。
では具体的にどうするかというと、家庭裁判所に特別代理人選任申立をします。申立書に、遺産分割協議の案を添付することになっています。予め協議内容を上程し、それを家庭裁判所が判断することになるようです。特別代理人が就任したからといっても、その代理人が恣意的に協議することはできないようです。
これから後見制度を利用する方が増えてくると、このような問題がより多く生じることが考えられます。

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