<過払金返還請求 訴外による返還請求と訴訟による返還請求>
業者から取引履歴を取り寄せ、取引につき再計算をした結果(債権調査)、「過払金」が生じることが判明したら、(方針にもよりますが)業者に過払金の返還請求をします。これを「過払金返還請求」と言います。業者に過払金の返還請求をする方法は2通りあります。
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訴外(訴訟をせずに業者と話し合うこと)による返還請求があります。ただし、近年、訴外で業者と返還交渉を試みたとしても、何ら回答がないのが普通であり、回答があったとしても非常に遅くなっているため、依頼者の方の意向をもとに訴外による返還請求をするかどうか検討します。
なお、業者も「過払金」を返還すると経営に悪影響を及ぼすため、「過払金」は返還したくないのが本音です。業者に対する過払金返還請求が相当数に及んでいることもあり、訴外で業者と返還交渉しても、こちらが計算、主張した返還額の50%などという提示をして、何とか返さないような回答をしてきます。
そこで
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2. |
簡易裁判所、地方裁判所に訴訟(「不当利得返還請求訴訟」)のうえ返還請求をする方法があります。
最高裁判例により、過払金は全額返還されるべきことが確定しているうえ、裁判所で本件事案について個別に審理されることもあり、業者も訴外で交渉した時のような「自らに都合の良い返還金額」を提示することができにくくなります。訴訟後、業者から連絡が入る際に、概ねこちらにとって条件の良い過払金返還金額の回答がなされます。
先述した通り、近年、業者は回答を渋ることが多々あるので、逃げることができないよう、いきなり「訴状」を提出して回収をはかるのが通例になっております。
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<完済した取引についての過払金返還請求>
すでに業者に債務を完済したケースで、高利で取引をしていた場合も、過払金が生じていることが考えられます。業者から取引履歴を開示させ、利息制限法での引き直し計算をしてみましょう。
完済した取引についても過払金返還請求ができます。一般的に「完済過払金」とか言います。
ただし完済の時から10年で消滅時効にかかり、法律上は返還請求できなくなりますのでご注意ください。
<簡易裁判所への訴訟>
司法書士は、訴額(争いになっている金額:過払金額)140万円以下の民事紛争につき、簡易裁判所での訴訟代理権があります。
過払金が140万円以下であれば、司法書士が簡易裁判所で訴訟代理人として単独で訴訟活動を行うことができます。
これにより、依頼者の方から司法書士に「訴訟委任」(訴訟をお願いしますという依頼)がなされれば、依頼者の方は法廷に出廷して訴訟活動をするようなこともなく、何もしないで過払金を回収することができます。
当事務所では、多数の過払金返還請求訴訟を行って参りましたので、依頼者の方から訴訟委任を受けた上で、当職が簡易裁判所の法廷に出廷して訴訟を行っております。
<本人訴訟>
一方で、訴額140万円を超えると司法書士には訴訟代理権がありません。
そこで、過払金が140万円を超える場合、訴訟の進め方には2通りあります。まず1つは弁護士に訴訟を全部依頼してしまう方法です。そして2つ目は、司法書士が作成した「訴状」を持参し、司法書士と依頼者の方が裁判所に出向き、司法書士が傍聴席で傍聴する中、依頼者の方に法廷に立ってもらう方法です。なお、出廷と言っても基本的にはそれ程難しいものではありません。過払金については最高裁判所の判例で、返還すべきことが確定しておりますので、法廷で争うという訴訟行為をすることはほとんどなく、裁判官と本人が若干やり取りをすれば終わるものがほとんどです。この、代理人を付けずに本人が裁判所に出廷する訴訟の方法を「本人訴訟」といいます。
当事務所では、依頼者の方と協議をした上で、弁護士委任にするか、本人訴訟にするかを検討、実行していきます。
本人訴訟の場合といっても、司法書士が一緒に裁判所に同行し、完全なフォローをしますのでご安心ください。
<過払金返還請求に関する注意点>
さて、過払金とは業者から「お金が返ってくること」です。良いことだけではなく注意しておきたい点も認識しておいてください。
1. |
業者からの過払金は、業者と和解(話がまとまるということ)してから入金されるまでに数ヶ月程度を要します。最近では業者の返金がますます遅滞している現状があります。
つまり「過払金」は業者からすぐに返還されるお金ではなく、今日明日の生活の宛にはできないということを認識してください。
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2. |
現在も業者と取引を継続している方が、取引を継続しながら「過払金」を返還してもらうことはできません。
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3. |
「完済過払金」については確実に過払金が生じるという安心はできません。取引期間が2年程度で、最後の1年程度、猛烈な返済努力をした方のケースでは、過払金が2万円しか出なかったというケースもあります。
最後に返済の追い込みをして頑張った方で、取引期間が短かかった場合は、あまり過払金が出ないケース等があります。取引形態にもよります。
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4. |
取引期間が長かったとしても、途中「完済」をしてしまい、おおよそ3年以上の期間を空けた後に再度取引をした場合は、前と後の取引は「別取引」として計算される場合があます。特に、前の取引と後の取引につき、全く別の会員番号で取引したなどの場合は、別取引として認定される場合があります。
そうなると、前の取引で全額完済した日が10年以上前であると、そこで生じた過払金については消滅時効の主張がなされ、後で生じた取引の過払金しか返還しないという主張が業者からされるのが通例です。このような場合は、訴訟後に返還金額につき業者と交渉することになります。
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5. |
引き直し計算をした結果、過払金が2万円という場合もあります。この場合は、2万円を回収するために民事訴訟を提起すると、訴状に貼る印紙代や司法書士への報酬がかかるため当然「費用倒れ」になってしまいます。残念ですがそのような場合は受託できない場合があります。計算の結果生じた過払金の金額と費用を照らし合わせ検討しますことをご了承ください。
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任意整理の際に過払金が生じた場合は、過払金回収後、他の債務が残る場合(残債務がある場合)には、回収にかかった事務所報酬を控除した上その残額を、他債務の返済の原資とします。(任意整理の項もご参照ください。)
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7. |
自己破産の場合で、取引に際し過払金が生じた際には、その金額が概ね20万円以上であれば、それだけで「管財事件」になる可能性があります。(裁判所の運用にもよります。) |
<こんな人は過払金回収をお願いしましょう>
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業者に取引履歴の開示請求、過払金の返還請求をしたいが、実際自分で手続するのには不安があり、よくわからない方
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利息制限法の引き直しがよくわからない方
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訴訟手続が不安の方
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訴訟は自分でしたくない、とお考えの方
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過払金の返還請求後、業者と交渉するのに不安のある方
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業者は一般の方が交渉すると足下を見てくる場合があります。司法書士が相手だと業者もきちんと対応するうえ、依頼者に不利な返還条件を出しにくくなりますので安心です。
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ずっと「自分でやってみようと考えている。」と思いながら何もやっていない方
あまりゆっくりしていると業者の倒産、整理により回収できるかわからなくなってしまいます。 |
<事務所からお伝えすること>
過払金返還請求をする際、弁護士や司法書士に依頼すると、回収した過払金額の一部を報酬として支払う必要があり、手元に残る過払金が減ってしまうため、一般の方が市販本等やネットで情報を集め、単独で過払金返還請求や返還訴訟をしている現状が見受けられます。
これは一般的に良い傾向であると思います。やれる方はご自身の納得のいく形でやってもらった方が良いと思います。
しかし、現実問題として、当事務所で面談相談をした方が一様におっしゃるのは「自分でやろうと思い、業者から取引履歴を取り寄せました・・・。でも、引き直しといってもそれもできそうにないのでやはりお願いしたいのですが・・・。」「本人でもできると言われていても、裁判所とか訴訟とかはやはり慣れないので・・・。」といったような言葉です。
ご自身でやるとしても事務的にも面倒なことだと思いますし、精神的にも苦痛を伴うことがある場合があります。(いきなり業者から答弁書や準備書面が送られてきた時に、どのように対応したら良いか分からないという不安も予想されます。)
もし、「自分でできるか不安だ。」とお考えの場合は、司法書士等の専門家に相談したほうが良いと思います。