自己破産 QアンドA

 

<一般的な質問>

Q.自己破産を申し立てると日常生活に何か影響はありますか?

A 日常生活には何も影響はありません。

 

Q.自己破産をすると就職や結婚に影響はありますか?

A ないと思われます。ただし、結婚に際しては相手に自己破産をしたことを内緒にしておいた場合、後に何らかのきっかけで分かってしまうとあまり良い影響はないと思われます。(私見)

 

Q.自己破産をすると戸籍や住民票に「破産者」と記載されるのですか?

A そのような記載はされません。

 

Q.自己破産をすると選挙権や被選挙権がなくなるのですか?

A なくなりません。

 

Q.破産手続により市民税、区民税や国民健康保険料も免除されるのでしょうか?

A 区民税や国民健康保険は租税公課であり、整理の対象となりません。支払義務は免除されません。
(破産法253条1項1号)

 

Q.破産はせずクレジットカード会社などの「おまとめローン」で借金問題を解決したいのですが・・・。

A 借金を借金で返済しても借金が残るだけで最終的な解決にはなりません。支払不能であれば破産を検討してください。

 

 

<主に手続に関する質問>

Q.自己破産を申し立てる際に、同居の親族に内緒で申し立てることはできますか?

A 結論として「申立までの手続は内緒で行うことができなくはないが、申立後に違法な金貸業者等から「お金を貸します。」というダイレクトメールが来てしまったら内緒を保証できない。」という回答になると思います。なお親族が同居していなければ内緒のうちに手続を終わらせることができると思われます。ちなみに申立時に地方裁判書に「送達場所の届出」なる文書を出しますので、自己破産申立後に本人の自宅に裁判所からの書類が届くことはないと思われます。

 

Q.申立後に裁判所から申立人に直接連絡が来ることはありますか?

A 基本的にありません。自己破産申立の際、地方裁判所に「送達場所の届出」という書類を出します。申立後、裁判所からの「破産手続開始決定、同時廃止決定」及び「免責許可決定」などの決定書は、当司法書士事務所に郵送されます。申立書類の追完や事務連絡も司法書士事務所に来ますので、申立人に直接連絡が来ることはないと思われます。

 

Q.自己破産をすると会社に知られてしまうのですか?会社にバレずに申立できませんか?

A 会社に負債を負っている場合は債権調査をしなくてはならないため会社に知られてしまう可能性があります。破産をすると「官報」に名前が載りますが、通常は官報という政府の機関誌の存在自体知られていないうえ、官報には大量の破産申立者が掲載されることもあり、勤務している会社が特に注意深く検索することがない限り会社に知られてしまうことはないと思われます。

 

Q.私の負債について保証人がいる場合、私が自己破産をすると保証人はどうなりますか?

A 概ね債権者から保証人に請求がいきます。負債が大きい場合、保証人自身も債務整理(自己破産、任意整理、個人再生)を検討する必要があることになります。債務整理をする前に保証人に連絡のうえ事前協議したほうが、後々トラブルを和らげることができると考えますが、それもケースバイケースでしょう。

 

Q.自己破産を申し立てると、どのぐらいの割合で管財事件になりますか?

A 割合はわかりません。ただし自己破産をする方は、申立時点で財産のない方が多いので、管財事件に移行することと仮定しても、財産の換価、債権者への配当ができないことが予想されます。そのため手続を終わりにするしかなく、ほとんど同時廃止の決定が出るようです。ただし、同時廃止になるか管財事件になるかは地方裁判所が判断することです。申立時点では確実なことは言えないということだけは認識しておいてください。

 

Q.管財事件になった場合、裁判所に納める金額はどれぐらいになりますか?

A 裁判所の取扱により異なります。ちなみに東京地方裁判所立川支部の運用では金50万円(平成23年10月現在)になるようです。東京地裁本庁では少額管財による取扱により、若干納める金額が少ないこともあるようです。

 

Q.会社の勤続年数が長く退職金がもらえる予定ですが、手続には何か影響がありますか?

A 退職金が一定額以上ある場合は、管財事件として処理される可能性が大きいと考えられます。地方裁判所の指示で管財費用を予納させられることが予想されます。

 

Q.浪費、賭博、射倖行為がある場合は、自己破産手続はどうなりますか?

A 浪費、賭博、射倖行為がある場合は、免責が不許可になります。つまり自己破産をしても債務が免責されないことになります(破産法252条1項4号)。ただし、これは法律上のことであり、諸般の事情を斟酌した裁判所が、初回の自己破産において「反省文を書くことを求める」程度で同時廃止の決定を出すこともあるようです。なお、浪費、賭博、射倖行為の程度が激しい場合は、同時廃止ではなく管財事件として処理されることになるようです。ちなみに浪費の状態として代表的な例としては、過剰な買い物、風俗に通い詰めること、ホストクラブに通い詰めること、などがあります。

 

Q.保険に入っているのですが、自己破産申立に際しての注意点はありますか?

A 保険に加入している場合、その保険に「解約返戻金」があるかどうかということが重要になります。この「解約返戻金」があるかどうかを保険会社に証明してもらいます。解約返戻金が概ね数十万円ある場合には、申立書類中の「陳述書」での報告が必要となり、管財事件に移行する可能性があります。

 

Q.自動車を所有しているのですが、自己破産申立に際しての注意点はありますか?

A 申立をする裁判所の実務運用により異なるものの、自動車検査証、又は登録事項証明
書、又は査定書を提出する必要があります。初年度登録から数年経過している自動車についてはこれら書類の提出が不要とのことです。一定年数が経過すると財産的価値
がないという評価がなされると考えられます。

 

Q.知人にお金を貸しています。破産申立書に記載する必要はありますか?

A あります。知人といっても債権になりますので、財産として申立書に記載します。金額が過多の場合は管財事件に移行する可能性があります。

 

Q.ある業者から簡易裁判所に貸金返還訴訟を出されています。自己破産をする際どのように対応したら良いですか?

A 資力がない生活状況で、自己破産を申し立てることが確実であれば、裁判に欠席しても問題ないと思います。2回目以降裁判に欠席すると自白が擬制され争わなかったこととなり、原告の希望を聞き裁判所が判決を出すことになります。自己破産に際し判決が出ていても手続を進めることができます。ただし早めに専門家に相談し、介入してもらった上、申立手続を進めたほうが良いと考えます。

 

Q.自己破産をしたくないのですが、自己破産しない方法はありますか?

A 負債額につき一括返済をする方法があります。親族などからの援助が必要になります。もしくは個人再生を選択する方法があります。ちなみに、個人再生は「継続的な収入を得る見込み」という要件が必要になりますので、無職の方が個人再生を選択して負債を整理することは難しいと考えます。なお、「自己破産が嫌だ」という単なる先入観を抱くのはやめ、負債総額に向き合ってください。

 

Q.個人再生と自己破産の違いを教えてください。

A 個人再生は負債を一部カットする手続です。これに対し自己破産は負債を全額カットする手続です。個人再生は、手続が終了してから分割返済をするのに対して、自己破産は分割返済の必要はありません。いずれにしても地方裁判所への申立が必要になります。

 

 

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