成年後見人は、被後見人が入所する施設を定期的に訪問します。私も定期的に訪問していますが、施設訪問の際にしばしば感じていることがあります。
特別養護老人ホームにしろ老人保健施設にしろ、訪問の都度今まで見たこともない職員やボランティアの方がいます。それらの方に私からちょっと被後見人の様子を伺う時があります。すると決まって返ってくる回答があります。
「私はボランティアだから分かりません・・・。」「私は先週入ったばかりなので分かりません・・・。」毎回同じような回答が返ってきます。
私はその施設に大切な被後見人を預けています。その被後見人の車椅子を押している人に「最近の様子はいかがですか?」と聞いても、概ねこれらの回答です。車椅子を押している近くの職員に聞いても詳細がよく分からないような返答が返ってきます。これでは困ると思うのですが。もう少し職員として上手い「返し方」がないのか?と思います。
特に親族を預けている方だったら「俺の親だぞ!もっとちゃんと仕事しろよ!ただ車椅子を押していれば良いってもんじゃないぞ!分かってんのか?」とでも言いたいと思います。(仮に私の親を預けているのであれば私はこう言っているかもしれません。)
老人の介助は非建設的な作業です。対価を求めない思いやりの気持ちや奉仕の気持ちがないと勤まらないと思います。今、就職がないからといって単に「とりあえず介護施設で働いてみよう」とか「勤務時間が無事に済めば給料がもらえる」という気持ちで施設の職員になってもらっては困ります。
また、ボランティアだから入所者の車椅子を押していれば仕事をしたことになるという考えもおかしいと思います。おおよそ施設にいて働いているのであれば、入所者本人の近況を聞かれたらある程度のことを回答できないとほとんど意味ないです。いるだけだったらガキの使いですよ。
こんな感じなのでしょうがなくいつも施設の上層部の方と話をすると、だいたいの事を教えてくださいますので納得できます。
どこの社会でもこれらの状況が見られると思います。職員は「自分はこの仕事(車椅子を押す仕事)の担当だから聞かれても他は分からない。」「自分は入ったばかりだから分からない。」「自分はボランティアだから分からない。」「自分はその人の担当じゃないから分からない。」責任逃れの言葉ばかりです。
確かに一職員では責任が取れないことはあります。給料も安く昇級の見込みがないから自分の担当している仕事以外のことは手間がかかるだけでやりたくないし、やると損をする。」こういう考えが行動に出ているんだと思います。
一方で上層部の人は「これでは入所者親族の方たちからクレームが来るのは当然だ。もっと対応の仕方が上手くできないものか?もっと気が利かないものか?」と考えていることでしょう。(実際に入所者の親族の方からこの類のクレームを受けているという話を聞いていますがこの有様では仕方ないでしょう。)
職員や従業員の皆さん、私も従業員の経験がありますので「自分は分からない。」という責任逃れの気持ちは分かります。しかし自分の仕事以外の仕事でも毎日その職場にいるのだからだいたいの事くらいは覚えること自体も仕事です。自分は職員(従業員)だから分からない・・・、という対応だったら、どこへ行っても通用しません。こういう職員(従業員)根性のままで仕事を続けると自分の仕事力は伸びず、最終的に困るのはご自身です。心して仕事に打ち込むことを心掛けたいものです。