ただ乗り社員・・・フリーライダー
最近、インターネット上で「ただ乗り社員」いわゆる「フリーラーダー」なる言葉が見受けられます。今日はこれについて考えたいと思います。
「ただ乗り社員」つまり、会社に勤務してはいるものの、仕事らしい仕事をしておらず、他の社員の仕事の成果に多少手を加える程度で、あたかも自分が仕事をしたような顔をして他の従業員の恩恵を受けている社員です。私の勤務していた倒産した会社にはそのような社員がたくさんいました。
他の社員の作成した文書をあからさまに「こないだ○○さんが作っていた文書を貸してくれ。」と要求し、それに多少手を加えただけで殆ど変わらない同じような文書を作り、「私が作りました。」とあたかも自分が調べて作ったような顔をしている社員。編集、製本した編集人がいるのに、表紙デザインだけを手配し表紙をくるんで「これは俺が作った本だ。」と言っている社員。顧客にサービスを提供する際、面倒な部分は他の社員にやらせ、ほぼ完成する際に参画し、自分も一緒にやりましたと主張する社員。担当社員が仕事の主要な部分をしっかりやっているから成り立っているプロジェクトについて、「俺は広告宣伝担当だから」とか「私はネット事業部で社長の娘だから」とか言って、外部の顧客にあたかも自分がそのプロジェクト全部の総指揮を取っているような宣伝をする社員。「社長が言っていた、社長がこう指示したから。」とか言って何かと社長を出し、他の社員に仕事を丸なげして、自分は全然その仕事に協力しないで、仕事が終わると社長に「先日の仕事は私が終わらせました。」と報告する社員。「宣伝広告のDMを打つから、おたくの部署で配布したパンフレットを貸してよ。」と言うので貸したところ、その原稿(ワード)のフロッピーまで貸せと要求されたのでやむなく渡したところ、はじめのキャッチコピーをほんの少しだけ変えて作り、「これは私が手がけたものです。」と平気で言う社員。たまに会議に出席して発言していた社員がいて、そのアイデアはどこかで聞いたことがあるなと思い、自分の部署に帰って他の社員に報告したら「それ、こないだ俺があの社員に提案したアイデアですよ。・・・」
ひどいと思いませんか?中には優秀な社員がいたものの、概ねこんな社員ばかりでした。それじゃあ会社は倒産しますよ。今から考えてもひどいです。一部の社員が自分の頭で考えて創り出した価値を、ほとんどの社員はパクってるだけだったのです。
こういう会社の現状としては、間違いなく志気が低下していて「頑張っても認められない。頑張っている人が損をする。自分が建設的な提案をすると、じゃあお前がやってみろということになり、自分で自分の首を絞めることになる。一生懸命やっても人事考課や評価自体がないので加点されるなんて全くない。」→だから「どうせ同じ給料を貰うのであれば楽をして貰えたほうがいい。仕事はなるべく効率的にやろう。」と、効率という意味をはき違えていることになっていると思います。
大学でよく「日頃バイトばかりしていて授業に全く出ないのに、試験前になると人のノートのコピーをしている人」居ましたよね。全部の単位についてこういうことをしていた人が居ました。学生であれば、その学生の成績や卒業という個人の問題と捉えることができます。そいつが数年後「大学でもっと勉強しておけばよかった。」と思っても一向に構いません。そいつが後悔するだけですから。
しかし、業績を向上させ売上を出さなくては市場競争で残っていけない「会社」だったらこういうことはどうでしょう?
そもそも人の仕事の成果にただ乗りするということは、自分の価値を社会に出さず、オリジナリティーを発揮しないということです。社会の人が求めているものは、人のマネをしたアイデアでなく、その人個人が考えたオリジナルのアイデアを求めています。例えば1人の美容師が「自分のサービスは稚拙だから恥ずかしい。」と感じながらも日々仕事をしていても、そのサービスを受けている人はそう感じていないかもしれません。その人のカットの味や方法を気に入ってくれていることで顧客が来てくれるのかも知れません。同じ仕事をしても、その人のやり方や考え方は違います。仕事を完成させるため、自分のオリジナリティーを発揮することが新たに社会に価値観を与え、サービスを受ける顧客に新たな幸せを感じさせることができるのです。
創意工夫もせず、自分の知恵も絞らず、オリジナリティーも発揮せず、他の社員の考えたアイデアをパクっただけの制作物やサービスというものは、その社員の仕事の仕方や振る舞いを見ていれば分かります。仕事が非常に薄っぺらいものに感じられます。そんな社員ばかりになった会社は社会に対し「価値」の「提供」ができないのですから、次第に売上も減少し会社は倒産です。
経営者の皆さんの会社の従業員は大丈夫ですか?まずはそういう社風になっていないかどうかを確認してみたいものです。