会社の末期状態2・・・「経営をやらない」
以前、このブログで、会社の末期状態、特に給料遅配が始まった際の会社状況について書きました。今日は、末期状態の際の経営者について考えてみたいと思います。
このドリームゲートは、社長ブログということで皆さん経営ネタについては非常に興味をお持ちになられていると感じました。私の本業は司法書士業で経営とは少々縁がない業務ですが、一時期、倒産しかかった会社に在籍したため個人的には会社経営に興味はあります。
会社が末期状態にある経営者として私が見てきた経営者は、次のような感じでした。
?会社の重要な判断は全部従業員任せ。経営者として何も判断せず、まるで人ごと。
?使用人が経営者に判断を仰いでも何も回答できない。なので使用人が新提案をすると「それははき違えているよ。」とか言って、従業員の提案を真っ向から否定する。
?創業者にもかかわらず、その会社の創業時からの主力商品の知識がほとんどない。勉強しようともしない。
?会社に全然来ない。だからといって資金繰りは経理部長にまかせっきりで、経営者は何もしないし出来ない。
?経営者が会議で発言するものの、業界や自分の会社の置かれた位置を全く分かっていないため、発言内容が全く現実離れしており、業界外の一般人が思いつきで話しているとしか考えられない。
?従業員が「ボロボロ」「ガタガタ」と辞めていく。特に中堅所や主要なポジションにある従業員が辞めていく。経営者は「経費がかからなくなるから従業員が辞めていったほうが良い。」と訳の分からないことを言い出す。
?何とか委員会の委員とか、何とか会の会員とかいう、殆ど経営に関係ない会などに参加し、勲章などを貰うことだけに励んでいる。
?顧客に必要な出費であるにも関わらず「お金がかかるから。」とか言って、本当に必要な経費も承認しない、などなど
つまり、経営者自身、自分の会社の経営を全くしてこない期間が殆どで全部従業員任せでやってきたので、何も分からないということだと思います。創業者にも関わらず、これでよくやってこられたのが不思議でした。
その会社が一時期成長できたのは、時代に即したサービスを提供できたこともあると思いますが、大半の従業員が支えてきた結果であり、単なる偶然的な要素も大きいと思います。
しかし会社が傾きかかった時、経営者が自分に力があると誤信し、息巻いて「さあ、俺の出番だ。」とでも考えたのでしょう。訳の分からない会議が多くなり、当時平社員程度の主任の私まで会議に引っぱり出されました。会議での経営者の発言は全くとんちんかんで、私が質問すると、経営者はその質問を聞きたくないらしく私の発言を遮るように再発言しましたが、言ってることが訳わかりませんでした。そして「将来的には・・・」とかいう話が多く、具体的なビジョンは何もありませんでした。
ここで思ったのですが、今まで何でも従業員任せだった人物が、突然会議を始めた時にきめ細かく気配りをして議事をまとめ、議事をさばくことはできますか?そんなのできないです。家庭で例えるならば妻が外泊した際、家事のことなんか何もしたこともない夫が子供のご飯を作ることができますか。それはできないです。
会社もそれと同じで、今まで会社の中の業務、いわゆる「内業」(私の勝手な造語)を何もしてこなかった経営者が、突然何かしようとしても、いきなりできるようにはならないのです。
重要な経営判断は、しっかりと経営者が行わなくては、いづれ何もできなくなってしまいます。「俺は社長だ、経営者だ。」と言って何もしないで経営が上手くいく時代は終わりました。それが通用したのは今から20年前のバブル期以前だと思います。
「経営者という肩書きだけで経営者を張っていられることはできない。経営者として努力すべき部分は、経営者であり続ける以上、努力を惜しんではいけないし、努力できない時は経営者を退く時だ。」
これは自分自身への非常に大切な戒めでもあり、経営者と名の付く人は、このような経営者像にならないよう反面教師として日々経営に励んでいただきたいと切に願っております。
経営者が経営者でなくなると、従業員、特に末端の従業員が真っ先に犠牲になってしまうことを忘れないでください。