ご自身の親御さん等が亡くなったらその人の資産を調べます。この時、土地建物や銀行預金、株券等のプラス財産に目が行きがちですが、忘れてはならないのが借金等のマイナス財産です。
民法では「相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」となっています。義務(負債)も承継するのです。つまり、相続人は原則としてプラス財産とマイナス財産双方を承継するのです。
しかし、相続人自身何も借金していないのに被相続人の負債まで支払っていかなくてはならないというのは一般的な感覚としても明らかにおかしいです。
そのために民法では「相続放棄」(民法938条)という制度が設けてあります。家庭裁判所に書面で申述することで、放棄をした人がはじめから相続人とならなかったことにします。
例えば、プラス財産として1000万円相当の一戸建土地建物、マイナス財産として8000万円の負債があったとします。相続放棄をすれば、この8000万円の負債は支払わなくても良いことになります。
ただし、「はじめから相続人とならなかったものとみなされる」ため、一戸建土地建物の権利を取得することもできません。つまり相続放棄をするとプラス財産、マイナス財産等何も承継できなくなります。
明らかに負債が多い場合相続放棄の手続をとります。