強制執行とは、債権者の私法上の請求権を実現するための民事執行法上の手続きです。債権者が債務者に民事訴訟を提訴し、金100万円の勝訴判決を得た例で説明します。
債権者が勝訴判決を得たとしても、債務者が金100万円を任意に履行しない(支払わない)場合、勝訴判決は「絵に描いた餅」になってしまいます。そこで債権者に現実に金100万円を得させる手続きが「強制執行」と言われる民事執行法上の手続きです。
具体的な手続きとしては、裁判所という国家権力により債務者の財産を差押え、換価し、債権者に配当します。差し押さえの対象となる財産は、不動産、動産、債権と多岐に渡ります。一般的には、債務者が勤務する会社の給料を差し押さえしてしまい、そこから債権回収をするケースが多いと思われます。(これを債権執行といいます。)
なお、強制執行には「給料債権は、その4分の3を超えて差し押さえてはならない。(民事執行法152条)」「家財道具など生活に必要な動産は差し押さえてはならない。(民事執行法131条)」等の制限があります。