後見人は、毎年一定の日までに、家庭裁判所に財産報告書などを提出することとなっています。人の財産を管理するのですから、裁判所に財産報告をし、その妥当性を客観的に確認してもらうのは当然でしょう。
さて、この日を徒過しても財産報告書などが提出なされないと、専門職である司法書士などが家庭裁判所から「調査人」として選任され、財産管理状況を調査することになります。
この「調査人」が選任されるということは、財産報告、場合によっては財産管理がスムースに行われていないということを明確に露呈していることであり、後見業務の観点からはあまり好ましくないと思います。
なお、財産管理には問題がない状態で、単に書類の作成提出が遅滞されている場合も考えられます。
たとえば、後見人に対し、「パソコンで文書を作成して家裁に提出すればいいです。」と指導しても、個人のご事情により現実的に難しい場合が多々あると思います。「それだったら手書きで作ってください。」ということにしたとしても、書類のプリントアウト自体も困難な場合があると思われます。このような場合は何らかの一定の配慮が必要なのでしょう。
以上、財産報告の期限徒過は、その案件に横たわる「諸般の事情」の詳細な聞き取りがポイントになると思われます。