小規模個人再生 2

以前、負債元本を一部カットして、残債務を分割で支払う債務整理の方法を紹介しました。個人再生というやつです。個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2通りの方法がありますが、個人の再生申立では概ね小規模個人再生の申立がなされていると思われます。
さて、先日、地裁に小規模個人再生の申立を致しました。受任通知を発送し依頼者の方の負債支払を止め、ほぼ毎月面談を実施のうえ生活状況のチェックをしてきましたが、ここまで来るのに1年近くかかりました。はるばるきたぜもうしたて?♪といった感じでした。
裁判所の運用は様々だと思いますが、今回申立をした裁判所では、まず申立で裁判所書記官が申立書類のチェックをします。ちなみに自己破産申立の場合は、申立人の財産を相当厳しく調査しなくてはならない(対債権者のためでもある)ので、申立書に様々な資料を添付させ、自己破産に至った経緯を時系列で分かりやすく書く必要があります。これに対し、個人再生の申立については自己破産の際とは少し異なり、足りない書類については再生委員の指示により提出するという比較的柔軟な実務運用になっているようです。しかし、銀行通帳のコピー等明らかに必要な書類は、はじめからしっかり付けていくようにして申立をしています。
地裁の待合室で40分から1時間近く待たされました。自己破産の際には裁判所書記官が直接司法書士と本人を呼びに来るのですが、個人再生では「小林司法書士、破産係へおこしください。」とスピーカーでアナウンスされます。本件申立書類については何ら問題なかったようで、官報予納金を支払い、申立手続きを終えることができました。
後日、再生委員が決定された連絡が地裁からFAXが入ります。再生委員は再生手続きの際に財産を調査、裁判所を補助、再生債務者の再生計画策定のために必要な勧告をする役割を果たします。弁護士が就任します。指定された弁護士先生の事務所に連絡を入れ、面談をする運びになります。
裁判所の手続がすべて終了した後に債務者が債権者に対し、カットした負債を分割して支払いできるかどうかのテストの意味で、申立後から数ヶ月間、再生委員に月額数万円の積立金を支払います。この積立金が最後に再生委員の報酬になります。
今回は再生委員との協議で積立金をいくらにするか判断されることになりました。受任してから申立まで1年近く経っているので、申立債務者の生活状況も少しづつ変わってきていて、当初可能と考えていた支払金額が、不景気の影響による給料の下落から支払いが難しくなるケースもあります。
数年経つと経済状況、身のまわりの環境がずいぶん変わっていくことを改めて実感します。分割で支払えるはずだった人が今では分割返済できないということになると、ちょっとした問題になります。はじめから無理せず自己破産でキレイに負債を整理することが、真の意味で債務者にとっての再スタートにつながることもあります。
人の将来の経済状況の予測は難しいですが、最初の見極めが肝心でしょう。
 

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