後見制度支援信託1

しばらくの間ブログを更新できずにいました。仕事の都合でもありました。
さて、この2ヶ月で何よりも嬉しかったのは、私のブログをよく読んでくださっている方がお仕事のご依頼をくださったり、相談のお電話をくださったりしたことでした。嬉しい一方で少し考えさせられることもありました。読者の方の中には、すごく内容をよく読み考えてくださっている方がいらっしゃるということが今さらながら認識できました。
私のブログは、基本的には私生活を書かず、司法書士の業務を通じ法律業務の情報を提供することを目的としてきましたが、こんなによく読まれていることを考えると、「こんなブログでいいのだろうか?」と若干反省と後悔の念が生じてきていました。今後もっとしっかりした内容を提供しないといけないと切に感じています。
前置きはそのぐらいにして本題に入ります。昨日、私の所属する(公社)成年後見センター・リーガルサポート東京支部の研修が神保町の一橋ホールでありました。研修テーマは「後見制度支援信託」でした。
今年のはじめあたりから「後見制度支援信託」という言葉をちらほら聞く方もいらっしゃると思います。成年後見業務関係者は特にこの言葉に敏感になっていることと思います。
民法上、後見人になれるのは司法書士などの専門職だけではなく親族も後見人になることができます。近年、親族が後見人になった案件で、後見人が預かっている被後見人の財産を横領してしまう事件が非常に多く、判明しているだけでも被害額は22億、1日600万円が横領されているという事実があるようです。講師として招かれていた最高裁判所の家庭局課長の方が非常に心配そうな面持ちで現状を説明くださっていました。
この現状を改善し、被害を少なくするため、親族を後見人として就任させる場合、日常生活に必要な金銭を残したまま、大半の財産を信託銀行に預けさせ、勝手に財産を使えなくするシステムを構築したようです。もちろん、被後見人の医療費に多額の出費が必要な場合には、信託銀行から引き出すことができますが、この場合には事前に家裁に報告書を出し、家裁が承認し「指示書」が出ないと預金をおろせないシステムになっています。いわゆる事前チェックを徹底したシステムです。このシステムが「後見制度支援信託」と言われるものだそうです。要は、ほとんどの財産を信託銀行で凍結し、簡単に引き出せない仕組みです。
原則として、今後申立がなされる「親族が後見人に就任する」案件につき、来年からテスト的に開始するようです。今我々が担当している案件について「後見制度支援信託」に強制的に移行を求められるわけではないようです。
我々司法書士の関与ですが、モデルケースとして?家裁が親族後見人と職業後見人という複数後見人を選任する?職業後見人が財産調査をして支援信託制度を活用できるかを判断のうえ家裁に意見を述べる?支援信託制度を活用できる場合は、どの信託銀行へ預け入れるか等を検討?信託銀行に預け入れた後、職業後見人は辞任、親族後見人が財産を管理?親族後見人が財産管理を継続する、ということになるとのことです。
そして、新たにリーガルサポートが実施した研修を受講した会員につき「支援信託名簿登載者」として家裁に提出し、名簿に従い仕事を依頼するという形になるようです。この関与は弁護士と司法書士が行うとのことです。自己破産の際の「破産管財人名簿」で弁護士が管財人に選任されるのと同じ様な感じなのでしょう。
高齢化社会を迎え、この分野は流動的な要素が多く、これからも責任重大です。
 

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