数年前有限会社という会社がありましたが、商法が会社法に改正され、これから新たに有限会社を作ることはできなくなりました。
既存の有限会社は、そのままにしておけば「有限会社」という名前を残して「特例有限会社」として存続することができます。登記事項証明書(登記簿)上は有限会社ですが会社法上は株式会社として存続します。
このような「特例有限会社」の役員(取締役等)は有限会社の性質を引き継ぐため、定款に別段の定めがないかぎり任期を満了することがありません。そのため、数年ごとに役員変更登記を申請する必要もありません。新たに就任する取締役の任期もありません。余計な費用がかからず経済的です。
さらに、これら会社の商号は「有限会社」と表記されたままですが、この会社を登記事項証明書(登記簿)上においても「株式会社」に変更することができます。この登記手続を、特例有限会社の株式会社移行の登記等と言います。
登記事項証明書(登記簿)上「有限会社」であるよりも「株式会社」と名乗ったほうが対外的信用度が違うとお考えの経営者様が経営する会社につき、上記の変更登記を検討、受託したことがあります。
何ともややこしいですね。会社法が施行されてからほぼ5年経過しましたが、商業登記手続を受託するたびに実務書で勉強しています。受験時代の知識あっての実務ですが、実務では試験のような記述式問題が目の前に与えられているわけではなく、依頼者様のお話を聞き関係者とのコミュニケーションを通じ登記事項証明書の登記記録に至るまでの作業が中心になります。蛇足ですが依頼者様とのコミュニケーション自体が仕事を非常に新鮮で面白くしてくれます。これが我々の仕事の醍醐味なのでしょう。